「山の天気は変わりやすい」とよく言われますが、その理由は山特有の気象現象にあります。登山を安全に楽しむために、標高と気温の関係・山の雷・霧・強風について解説します。
山岳地帯は平地と比べて天気が急変しやすく、その主な理由は以下の3つです。
湿った空気が山の斜面を上昇すると断熱冷却が起き、雲が発生しやすくなります(地形性降雨)。平地では晴れていても山に雲がかかることが多いのはこのためです。
夏の山岳では、日中に地面が温められて上昇気流が発生し、午後になると積乱雲が急発達して雷雨になりやすくなります。「午前中は晴れていたのに急に雷雨に」という事故が多発しています。
山頂・稜線付近は遮るものがないため、平地の数倍の風速になることがあります。特に偏西風が強い時期(春・秋)は気圧配置によって突風が吹くことがあります。
標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がります(乾燥断熱減率)。
| 標高 | 気温の目安(夏・平地25℃時) | 代表的な山 |
|---|---|---|
| 0m(平地) | 25℃ | 東京・大阪など |
| 500m | 約22℃ | 軽井沢・箱根など |
| 1000m | 約19℃ | 乗鞍岳麓・日光など |
| 1500m | 約16℃ | 富士山5合目・蔵王など |
| 2000m | 約13℃ | 北アルプス登山口など |
| 3000m | 約7℃ | 富士山頂・穂高連峰など |
| 3776m(富士山頂) | 約2℃ | 富士山山頂(夏でも極寒) |
さらに風が強い場合は体感温度がさらに下がります。夏の山岳でも低体温症のリスクがあるため、防風・防寒着は必ず携行してください。
山での落雷事故は夏に集中します。特に稜線・山頂は周囲で最も高い場所のため、落雷のリスクが極めて高くなります。
山では雲の中に入ることがあり、視界が急激に悪くなります(ガスが出る)。ガスの中では登山道を見失いやすく、特に稜線・ガレ場では滑落事故が起きやすいです。霧が出た場合は無理に進まず、視界が回復するまで安全な場所で待機することも選択肢です。
稜線・山頂での強風は歩行を不安定にさせ、突風によって転倒・滑落の危険があります。風速20m/s以上(暴風)では立っていられないほどになります。強風注意報・暴風警報が出ている日は登山を中止してください。